結論:超面白かったよね

先週末Inglourious Basterds見ちゃいました。


僕がQuentin Tarantinoの映画を好きなのは、監督自身が徹底的に楽しんで作っているから。
自分が客席に座って観るときに、ニヤニヤワクワクするような映画を作ってるんだよね。
客席に媚びない。だから面白い。
「どうだ、おれの映画面白いだろ!面白いに決まってるさ!分かんないやつは出てってくれて構わねえ!」

ってスタンスが好きだし、やはり今の時代、観客に迎合して喜ぶポイントを寄せ集めただけのゴミみたいな作品が多いだけに、こういう作品が光ると思う。
嫌いな人は嫌いだろう。倫理とか史実とか「青少年への影響」とかガン無視だから。


「俺が最近の映画を見てうんざりするのは、最初の20分で設定をすっかり説明し終えて、残りの時間はお約束通りに進むだけってところさ。だけど俺に言わせれば、そんなのストーリーじゃない。本物のストーリーっていうのは常に折り重なって、紆余曲折してなきゃダメだ。急激な左旋回、右旋回で観客を揺さぶって、観客が予想もしなかったところに連れて行く。サプライズを添えてね。」





この方がブログで、この映画は「人の心に大事なものを何一つ残さない映画だ」と書いていましたが、まさにそのとおりw
深町秋生さんのレビューも素晴らしい。→こちら
僕が感じて思ったことを、深町さんが全てまとめてくれてるので、書く意味がない....


まあ文章力が無いので、徒然なるままに書きます。
まとまりがなくて悲しい。


<俳優・演技>
序盤から間を上手に活かした緊張感の連続。オープニングの乾いた青空と広い農場の小さな農家、寡黙で朴訥な農夫が、予感させる。
農夫役の演技も地味にいい。Christoph Waltz演じる、ナチスの大尉との対話が手に汗握る。Walzsは終りまで、超絶素晴らしい演技。神。
そこに中盤から、殺人フェチなアメリカ軍将校のBrad Pittが華やかさを添えて、期待を煽る。
彼は存在感だけじゃなく、俳優としての演技力も相当だと思う。
ちょっとした表情、仕草、喋り方など凝ってて、結構感動しました。やるね!
最初から“Brad Pitt”としての主役的存在感がメインで、脇役に収まれる人ではないんだけど、相応しい演技力。
彼も楽しんで演技してる感が出てる。


<撮影>
個人的に驚いたのが、今までにないくらい、Stylishなカメラ回し。
今回の撮影は「JFK」や「Aviator」、近年では「Shutter Island」などで有名なRobert Richardsonなんだけど、ホント素晴らしかった。
天井からの俯瞰ショット、長回しにスローモーション。
場面場面に適切な温度と湿度、鮮やかさや艶やかさのショットを自在に披露してくれる。
今回の映画のキレとか、雰囲気の演出に相当な貢献してます。カッコいいです。
Chanelの香水No.5のShort Movieを想起させるくらい、Stylishでしたよ。


<脚本と音楽>
敢えて回収しない伏線を貼ることで、観客は地雷地帯の間に敷かれた細い道を追い立てられているような、不安感に包まれる。
緊張とその瓦解のコントラストが一杯あるから楽しめる。
そして相変わらず抜群の音楽センス。Reservoir Dogs程効果的に使われてはいなかったけど、音楽の効果が薄れてしまうほど脚本が秀逸だったのも事実。
特に後半と言ったらw ここまで大風呂敷広げちゃって、物語に相応しい収拾のつけ方をしないと全部台無しになっちゃうよなあ と心配でしたが杞憂だった。めちゃくちゃなんだけど、良くぞこの展開をまとめ切れたなあといった感じ。
Reservoir DogsやJackie Brownほどスマートな脚本では無いけど、Deth Proofほど冗長でも無いし、何よりPulp Fictionよりもスケールがデカくなった。
洗練されたけど、狂気じみたこだわりは減ったよね。Homageは残ってると言うか、ほとんどがHomageだけど。
そうだなあ〜 バスターズのメンバーをもっと濃くしたらさらに面白かったかも。


<監督の嗜好、またの名を自分勝手、またの名をフェチズム>
監督が極度の足フェチ、拷問フェチなので、エグい暴力シーンが彼の映画には付き物なんですが(笑)、観客が引きすぎないように、サラリと鮮烈なイメージだけ残すように、音楽を使うのが彼の作品の見所でもあります。
Reservoirでは歌いながら耳を剥ぎ、今回は笑いながら頭の皮剥ぎまくってましたね.....
当然R-15だけどViolenceの絶妙な使い方凄い.......もはや優雅で美しかったりするもん。
緊縛もののAVとか撮らせてみたいなあ。
うん。いつかAVを撮って欲しい。すげーの作ってくれる気がする。


AVで思い出したけど、主演女優のMélanie Laurentはこれからバンバン売れる気がします。超美人だし、落ち着いた雰囲気と、27歳には似つかわしくないくらいドスの効いた演技が魅力。
端役で出てるDiane Kruger(の足)はたまらないね。たまらない(足が)。監督の私的性欲を満たすために出てる気もw


最後に、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」で有名な岩崎さんのレビュー