ヒジュラに襲われた夜

何かもう今更感溢れてるんだけど、インドでの珍体験について。
ハマジに伝えたかった。


インドで乗った夜行列車で、深夜に途中駅から乗り込んできたニューハーフ(つまりは女装した男)
に叩き起こされ、金をせびられた。
物乞いとは違う風情だし、強請られるいわれもないので無視していたら顔を引っぱたいてくるわ、つねるわで散々な目に遭った。


しかし何故か周りのインド人を見ると、逡巡もせずにお金を出し、さも当たり前のように手に握らせるのだ。
全く意味の分からないまま、結局おれらも支払うことにしたのだけれど、どういう素性の人々なのかずっと疑問に思っていた。
そして、ついさっきその答えを知ることができたのだ。


彼らはヒジュラというアウトカースト(昔の日本で言うエタ・非人)で、なんと皆、両性具有なのである。
つまりヒジュラは男性器と女性器をあわせ持ち、カースト制度に組み込まれていない特殊な存在なのだそうだ。
職種はシャーマンであり、子供の誕生や婚礼を歌や踊りで祝福する芸能者的役割をも為していたようで、職能としてはバラモンとも同じである。バラモンと異なる点は、バラモンが低カーストのものから食物の寄進を受けられないのに対し、ヒジュラは認められているという点である。
そしてそこがアウトカーストたる所以なのでないかと個人的には感じている。

彼らは先天的な両性具有だと主張するものの、当然何十万人ものヒジュラが全てそうなはずもなく、実際には男の子として生まれながら、あるときから自分はヒジュラであるということを自覚し家を出て、ヒジュラの集団に身を投じ、そしてそこで男性器を切断する手術を受けてヒジュラになり、死ぬまでヒジュラの集団を自分の家族として生きる。

インドはとても広くて多様な文化を抱えており、ヒジュラも同様に地域によってかなり多様だが、どの地域でも、ヒジュラには人を呪ったり、幸福をもたらしたりといった超自然的な力が備わっていると信じられ、男でも女でもない、独特の役割や仕事が与えられているようですね。
主に聖職で、民に尊敬される存在であることが多いようだ。

一方、デリーやコルカタでは売春に身を投じ、最も卑しい人々として石を投げられたりするのも多いらしい。電車で出会ったヒジュラは皆一様に卑しさが漂っていたように思うけれど、果たして。
最近ではこのヒジュラの集団が電車に乗り込んでくることが良くあるそうで、僕ら外国人はインドの厳密なカースト制に基づくと一番下のカーストであるから、それで物乞いされたんだろうか。


結局良く分からず。